私のおさげをほどかないで!
 あ、でも――。
 和音(かずね)ちゃんの年齢を思うと、その“随分前”、は実は10年近く前なのかも?って思ってしまった。

 それって奏芽(かなめ)さんも今より大分お若かったんじゃ?

「あ、凜子(りんこ)、今、ろくでもねぇこと考えただろ」
 言われると同時に鼻をつままれて、私は「かっ、考えてませんっ」と答えてみたものの、実際は少し後ろめたくて。

 それで、だろうな。
 思わずポロリと「あの、和音(かずね)ちゃんは……今何歳なんですか?」って聞いてしまった。

「ん? 小1だから1月に誕生日が来たら7つになるんじゃなかったか」
 私の問いかけに何気なく答えてから、「あ、さては凜子。パンケーキの話、何年前か気にしてんだろ」って揶揄するように軽くおさげを引っ張られてしまった。

「ず、図星ですっ。ごめんなさい」
 隠しきれないと覚悟して素直に謝ったら、「片山さんだな?」って言われて。

 突然四季(しき)ちゃんの名前が出てきて、私は脈絡のなさにキョトンとする。

「だから、彼氏(おとこ)が甘いのダメって情報、凜子に吹き込んだの!」
 
 言われて奏芽さんの推察力の凄さに、私、心底驚いてしまったの。
< 544 / 632 >

この作品をシェア

pagetop