私のおさげをほどかないで!

本文

 バレンタインデー。
 凜子(りんこ)が手作りチョコを手に、俺のマンションに遊びにきてくれた。

 寒がりの凜子に合わせて、高めの温度設定で暖房がきいた部屋の中。
 持ってきてもらったチョコレートを一欠片ずつ、お互いに「あーん」する要領で食べさせあって。
 残りは溶けないようにって、冷蔵庫に仕舞ったんだ。

 味覚的にも全体の雰囲気的にも、物凄く甘々な時間を過ごしているはずだったんだけど――。

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