私のおさげをほどかないで!
「は? 奏芽(かなめ)()()に彼女と? 嘘だろ雨宮(あまみや)

 案の定、俺が、ここへは基本1人でしか訪れないことを知っているハルが、すぐさま食いついてきて。

「奏芽、お前いままで誰と付き合っても〝あまみや〟にだけは連れて行かなかったよな?」

 腹が立つぐらい俺のことをよく知っている幼なじみは、そりゃあもう的確に「スルーして欲しいところ」を突いてくる。


 いつもなら俺もここまで意図的に彼女ができたことをハルに知られないようにはしないんだけど。

 年齢差が年齢差だから、かな。
 さすがに今回は何となく言いづらくて、まだ話していなかった。

 それに――。

 ひとつ話してしまえば何となく隠しておくのが馬鹿らしくなって、気がつけば、俺は今の彼女にはキスまでしかしていないのだと暴露していた。

 当然ハルは目をまん丸にして驚いて。

「ちょっと待て。付き合い始めて1ヶ月以上経ってるのにお前がまだ手ぇ、出してないとか……嘘だろっ?」

 と、予想通りの反応をくれた。


< 572 / 632 >

この作品をシェア

pagetop