私のおさげをほどかないで!
「――俺にとっての音芽(おとめ)みたいなもんか?」

 ややして言葉に詰まった俺を助けるみたいに温和(はるまさ)がそうつぶやいて。

 絶対とは言えないけれど、多分それが一番しっくりくる説明なんだろう、と思った。

「そうかもな」

 うなずいたら、今まで無言で俺たちのやり取りを聞いていた雨宮(あまみや)が、「少しだけどな、音芽ちゃんに似てんだよ、雰囲気が」とまたしても言わなくていいことを付け加えてくる。

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