私のおさげをほどかないで!
「――本気、なんだな」

 ややして温和(ハル)がしみじみとそうつぶやいて。

 俺は「まぁな」と答えた。




「――俺たち、もう33じゃん?」

 ああ、ハル。
 お前が言いたいことは分かってるよ。

「40までには身、固めるから安心しろ」



 言ったら、
「楽しみに待ってる」

 ハルだけじゃなく、雨宮(あまみや)からもそう返された。

 付き合い始めてたったの1ヶ月。

 だけどな、俺の心は凜子(りんこ)に交際OKの返事をもらったあの瞬間から決まってんだ。

 俺の隣で一生笑っていて欲しいって思えるのは凜子だけだ、って。


 例えまだキスしかしたことがない相手だとしても――。



 そんなふうにバカみたいに純なこと、この俺が思う日が来るなんてな。

 正直な話、俺自身が一番驚いてんだよ。


 いつかこの気持ちを凜子自身に伝える日がきたなら、凜子はどんな顔をするんだろう。

 嫌だって言われたら……いま目の前にいる腐れ縁2人にも謝らなきゃなんねぇな。


 そうならないように……凜子に結婚してもいいと思ってもらえる男になれるよう、頑張らねぇと。




     END(2020/11/24)
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