私のおさげをほどかないで!
「イメチェンだよ、イメチェン」

 言ったら、音芽(おとめ)が瞳を見開いて黙り込んだ。

凜子(りんこ)さん絡み?」

 ややしてポツンと落とされた言葉に、俺は「まぁな」と、さも何でもないことみたいに返した。


 高校生の頃からだからかれこれ20年近くになるか。

 その間ずっと、俺は長めの髪に金髪、を通してきた。

 それを、つい今しがたここで、黒髪短髪にしたのだ。

 凜子の母親に会うために。

 就職活動の時ですら、俺は長髪・金髪を貫いた。
 それを知る音芽(おとめ)が、こんな風に驚くのは無理もないか。
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