私のおさげをほどかないで!
「お兄ちゃん、今回は彼女のこと、ホントのホントに本気……なんだね」


 ややして音芽(おとめ)がにっこり微笑んで、「私、応援してるから」と腕をペチペチ叩かれた。


 ああ、何だコイツ。

 こんなに俺をまっすぐ見つめてこられるやつだったか?


 幼なじみの温和(はるまさ)と一緒になって、一児の母になった音芽は、俺が知る、ちょっとからかっただけですぐ顔を真っ赤にして涙目になっていた小さな女の子じゃなくなっていて。

 どんどん俺の知らない女になっているんだな、と今更ながら実感させられた。
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