私のおさげをほどかないで!
「でも、前にちょっとだけそれっぽい話はしてあるし。切って帰っても納得はしてくれると思う」

 しかし、そんな曖昧な理由でよくあの温和(はるまさ)音芽(コイツ)をひとりにしてくれたもんだ、とも思っちまって。

 前に話したというのが、余程ハルの心に刺さったってことか?

 今度ハルに聞いてみよう、何言われたのか。


「あ、それにね、和音(かずね)が。あの子が助け舟出してくれたから」

 俺の疑問を察したように、音芽(おとめ)がペロリと舌を出す。

 ああ、アイツが音芽(ははおや)味方(がわ)についたなら、ハルは敵わねぇか。

 何となくだけど、霧島(きりしま)家では和音が一番強いんじゃないかと思ったりして。

 ()()()()()()()、和音のやつ、妙にませたところ、あるからな。
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