私のおさげをほどかないで!
「ご、ごめんなさい……」

 思わず謝ったら「謝ることないよ? ホント、(りん)ちゃんは真面目なんだから。――けど、僕も言い方が悪かったね。……えっと、凜ちゃんが嫌いじゃなければ……寿司、食べに行かない?」

 のぶちゃんが想定しているお店はお寿司、回ってるかな。
 回ってないところで……お値段が「時価」とかだったら困るな。
 そう思ったけど、今の今でそんなことさすがに聞けない。
 なんて答えたらいいんだろうって迷っていたら、のぶちゃんがクスッと笑う。

「大丈夫だよ、回ってるところに連れて行くから」

 でないと凜ちゃん、安心して食べられないでしょ?

 そう付け加えるのぶちゃんは、やっぱり小さい頃から一緒に育ってきただけあって、私のことをよく知っている。
 それが心地良いと感じていたはずなのに、今日は何だか申し訳なさの方が勝ってしまう。

 何でだろう?

「じゃあ、お寿司で」

 私の返事を聞いて、モヤモヤした気持ちを乗せたまま車が走り出した。

 目的地は、バイト先――セレストア――に程近い、全国チェーンの回転寿司屋さんだ。
 距離的に言うと、歩いても行けたかも?って思った。
< 67 / 632 >

この作品をシェア

pagetop