私のおさげをほどかないで!
***

「なぁ凜子(りんこ)、今日って全部終わるの何時?」

 どうにかこうにか、具が引っ張り出されてボロボロになったハンバーガーを食べ終えてほぉっと一息ついたところで、ハンバーガーの包み紙と、手にしていたアイスコーヒーを交換するように受け渡しながら奏芽(かなめ)さんが言った。

「え?」

 一瞬真意を取り損ねて間抜けな声を出したら、「終わったら家まで送らせろよ」って言われた。

「でも……」

 付き合って欲しいと言われて、私はそれに明確な結論を出せていない。
 そんな中途半端な状態でそれは。

 そう思って躊躇したら、いち早くそれを察したらしい奏芽さんに「俺、送っていい?って聞いたわけじゃねえぞ」って畳み掛けられて。

 そこで「あ」と思う。

 そういえば今、この人「家まで()()()()」って言った。

 何て横暴で彼らしいんだろうって気づいて、思わず笑ってしまう。

「何でそんな偉そうなんですか」

 苦笑しながら言ったら、「年上だからに決まってんだろ」って……ワー、それ、本気で言ってる?

「ハッキリ言って子供みたいです」

 思わず本音がポロリ。

 でも、私、奏芽さんのそういうところが、多分嫌いじゃない。
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