ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 意外と場所見知りしないものなのだと、体力が有り余っている無邪気な二歳男児に苦笑する。

「蒼斗は普段どういう食事をしているんだ?」

「子供が好きそうなもの全般かな。大人の味つけの、煮物や炒め物は好まないかも」

 唐突な質問を受けて首を傾げながら考えると、蒼さんは「子供の好きなもの……」と腕組みをする。

 そういえば蒼さんは料理が上手だった。

「カレー、オムライス、ハンバーグとかか?」

「うん。そうだね」

 ジャンプをやめて、今度はでんぐり返しを始めた蒼斗に注意を払いながら相槌を打つ。

「それなら、ついでに俺の分も用意できたりするか?」

「蒼斗と私と同じメニューを蒼さんにもってこと? ふたりも三人も変わらないからいいけど……」

「三人でなるべく食事がとれるように都合をつけるよ」

 これまでずっと蒼斗とふたりで食事をしていたので、「三人」という言葉に嬉しさが込み上げる。

 やっぱり食事はひとりでも多い方が楽しい。
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