ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています

　父親の借金や、溝口さんとの関係について説明をしても嫌な顔をするどころか親身になり、こうして自分のマンションへ招き入れてくれた。

　そして子供がいる私に、昔と変わらず好きと告白までして。

　蒼斗の父親について聞いてこないけれど、気づいているのかどうか正直判断がつかない。

　自分の子供だという確証がないのに、蒼斗を大切にするとまで宣言したときの表情を思い出す。

　とても真剣な顔だった。信じていいのだと思わせる、男らしさと頼もしさがあった。

　このまま本当の家族になりたい。蒼さんとふたりきりで話ができる時間があったら、子供の出生について正直に打ち明けよう。

　もちろん蒼斗には、いきなり『あなたのパパですよ』なんて言えない。

　焦らずゆっくり、時間をかけて本来あるべき家族の形にしていけたら……。

　自分の命を差し出しても守りたい存在の蒼斗の寝顔を、温かく、少しそわそわするような心持ちで見つめた。