ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
嫌な記憶に影響を受け、自身の髪をガシガシと乱暴に洗っていた。
もうすぐすべてが片付くといっても、これまで溝口がみちるを傷つけた行為は一生許さない。
ルームウェアに着替えて髪を乾かし、作り置きされている夕飯を食べようと席に着く。
そこでテーブルに置いてあったスマートフォンが振動したので、眉をぴくりと動かした。
画面に表示された黒崎滉雅という名前を確認して、「こんな時間にどうした」と電話に出る。
『気になったから、すぐに伝えておいた方がいいと思って』
互いに多忙を極めるので、いつも回りくどい会話は避けて単刀直入に話をする癖がついている。それ故に滉雅との電話はストレスフリーで心地いい。
『病院でみちるちゃんに会ったとき先客がいたんだ。莉々沙先生なんだけど』
ふたりに接点があっただろうかと思考を巡らせたが思いあたる節がない。