ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「わかった。莉々沙先生には気をつけておく」

『用件はその二点だ。金森克己さんが蒼とみちるちゃんに会って謝罪と感謝を述べたいと話していたから、どうするかみちるちゃんと話し合うといいよ』

 俺はもちろん会って挨拶をしたいが、みちるは難しいかもしれない。

「いろいろとありがとう。今度なにか礼をする」

『じゃあ焼肉で』

「了解」

 短い挨拶を交わして通話を終えた。温めたばかりの料理からはまだ湯気が上がっている。

 今晩は煮込みハンバーグと生野菜のサラダ、コンソメスープというメニュー。

 蒼斗はプチトマトときゅうりしか食べないし、コンソメスープは好むが煮込んだハンバーグは嫌う。

 だからハンバーグの味つけは大人用で別に作り、サラダも俺だけに用意されたもの。

 手間が増えて大変だろうからと、一度気を遣わなくていいと話をしたのだが、みちるは首を縦には振らなかった。

『私が蒼さんのために作りたいの』

 そう言ってくれたときのみちるの恥ずかしそうな表情や、どこか不安げに揺れていた声が胸にグッときて、どんなに帰りが遅くなっても夕食は食べるようにしている。
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