ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「滉雅に任せていたからお父さんには一度も会っていないんだ。そこで、俺とみちるに会いたいと言っているらしい」

「会いたいって、お父さんが?」

「そうだ。聞けば、溝口がみちるやお母さんの元を訪ねていたと知らなかったそうだ。一度きちんと謝罪したいんじゃないのか?」

 みちるは顔色を暗くさせて黙り込む。

「俺はみちるの意思に従うよ」

「会った方がいいと思う?」

 蒼斗の口の周りについた汚れをウエットティッシュで拭きながら、難しい質問だな、と考えあぐねた。

「……俺は会いたい、かな。みちるがどういう人のもとで育ったのか興味がある」

「答えになってない」

 みちるは苦笑して椅子の背もたれに体重を預けた。

「十年以上会っていないから、ちょっと緊張する」

 そう言うってことは、どうするのか決めたのだろう。
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