ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
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 みちるの父親と電話で話をして、互いに名前で呼ぶ間柄になるくらいには打ち解けてから、約一週間後の日曜日。

 どうにか都合をつけて午後から時間を作ることができた。

 克己さんとの待ち合わせ時間まで余裕はあったが、できる限り早く帰ろうと病院で仕事をこなす。

 そんな慌ただしくしている胸中をよそに、莉々沙先生が「ちょっとお時間よろしいですか」と声をかけてきた。

 よろしくないと言いたかったが、滉雅に釘を刺されているので了承する。

「相変わらず忙しそうですね」

「そうでもないよ」

「だって、食事に誘っても断ってばかりじゃないですか」

 それは家でみちるの手作り料理をたべたいから、と心のなかで答えて続きを促す。

「話って?」

「私たちのお見合いが流れてしまったのは、大槻先生がアメリカ研修に行ってしまわれたからですよね」

 そうでもない。みちると交際しているからときちんと説明をしたはずだが。
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