ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「ありがとう。私は蒼さんが大好き。ずっと一緒にいたい」

 丁寧にゆっくりと動いていた手がピタリと止まる。心臓を高鳴らせながら顔を上げると、耳まで真っ赤にした蒼さんがどこか遠くに視線を投げていた。

「照れているところ、初めて見るかも」

 蒼さんは決まり悪い顔をして後頭部をガシガシと掻く。

 せっかくセットした髪が乱れちゃう。でも私も泣いたからアイメイクを直さないと。

 一度咳払いをした蒼さんはもういつもの調子を取り戻し、真っ直ぐに私を見据えて口を開いた。

「俺もみちるが好きだ。本物の家族になりたい」

 嬉しいなあ、と胸が幸福感で満たされていく。

 好きと言ってもらえて、なにも偽らずありのまま喜びを表現できるのが、こんなにも幸せなんて。

 だらしなくにやける頬に手を置いていると、目の前に座る蒼さんがガタッと椅子を引いて立ち上がる。

 いきなりどうしたのだろうと瞬きをしていたら視界が暗くなり、大きな身体に覆い被されるようにしてキスを落とされた。
< 160 / 193 >

この作品をシェア

pagetop