ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 突然のことで目も開けたまま。離れていく蒼さんの唇を目で追いかけていたら、何故だかまた戻ってきた唇に塞がれる。

「んっ」

 少し荒々しかったので思わず声がこぼれた。角度を変えてもう一度触れようとしたそのとき。

「とうしゃーん?」

 蒼斗の呼ぶ声がして、飛び跳ねるように大きな身体が遠退く。その行動が普段見られないものだったから妙におかしくて、クスクスと声を上げて笑った。

「ママー?」

 続けて呼ばれ、「はーい」と元気よく返事をする。蒼さんは苦笑しながら私の頭をするりと撫でてから蒼斗のもとに行く。

「どうした?」

 私と蒼斗、どちらも大切にしてくれているのが行動からひしひしと伝わる。大声で好きだと叫びたくなるほど、胸のなかで愛情が膨れ上がって爆発しそうだった。

「むぎおちゃ、ちょーだい」

 麦茶とお茶を混ぜたこの子なりの言葉が個人的に大好きで、いつも胸がキュンとする。
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