ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「時間に余裕があったら指輪を見に行きたいと思っていたんだ」

 蒼さんが病院へ向かうまでにまだ二時間ほどある。

「婚約指輪?」

「そう。あと、できればマリッジリングも選びたい」

 いつも先回りしていろいろ計画を立てている蒼さんには頭が上がらない。

 ホテルのスイートルームで過ごした夜、指輪が入った箱を持ちながら正式なプロポーズをしてもらった。

 ただその指輪はプロポーズリングと呼ばれる後日サイズやデザインの変更ができるものだった。

 目的の店に到着して蒼さんがチャイルドシートから蒼斗を抱き上げたが、眠りは深いようで起きる気配はない。

「変わろうか? 店員さんと話さなくちゃいけないでしょ?」

「大丈夫だ。みちるにはゆっくり指輪のデザインを選んでほしい」

「うん。わかった」

 蒼さんがそう言うのだからその通りにした方がいい。

 スイートルームで過ごして確信したのだが、彼はロマンチックな一面を持っている。こうして私に華美な指輪を送る行為も、蒼さんにとっては楽しくて仕方ないのだ。

 だとしたらこちらも全力で愛情を受け止め、幸せな気持ちにどっぷり浸かった方がいい。
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