ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 
 翌日になっても母親は目を覚まさない。

 病院のなかにいても気が滅入るだけなので、昨日見つけた敷地内の庭にあるベンチで時間を潰すことにした。

 青々しい草木と澄み渡る空を眺めながら、昨日から自分なりに調べた病気の後遺症について思考を巡らせる。

 母親は右脳にダメージを受けているので左片麻痺を負うだろう。舌半分に麻痺があれば会話も食事もままならないし、もちろん歩行も難しい。

 胸いっぱいに空気を吸って、ふーっと長い息を吐く。

 お母さんは忍耐力がある人だから、きっと前向きな気持ちでリハビリに取り組んでくれるはず。今だって早く目を開けようと頑張っているだろうから、私も弱気になっていないで強い心を持とう。

 両太腿をパンッと叩いて立ち上がる。

 昨日は食欲がなくて院内のコンビニエンスストアで購入したおにぎり一個しか食べていないし、今日もまだ飲み物しか口にしていないから、なにかお腹に入れないと。
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