ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「今日は患者さんの容態を診るだけなんだよね?」

「急患が入らなければそうだな」

「だったら帰ってくるまで起きてる」

 きちんと意味が通じたらしく蒼さんの瞳がまた色を変えた。

「その気にさせて寝落ちしているとかは、勘弁してくれよ」

「頑張る」

 まだ笑いを引きずりながら答えたら綺麗な顔が近づいて、なにかを考える前に唇を塞がれた。

 ここが店だというのも頭から抜け落ちて、柔らかな感触に酔いしれそうになったとき蒼斗の唸る声がこぼれ落ちた。

 ハッとして唇を離すと、蒼さんの腕のなかで蒼斗が険しい表情で目を開ける。

「悪い、起こしたか」

 蒼斗は寝惚けているようでなにも言わず、右手で目を擦り続けている。
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