ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「向こうにあるカフェの、サンドイッチもおいしいらしいですよ」

 私は手に持ったままだったサンドイッチに視線を移してうなずく。

「そうなんですね。教えてくださってありがとうございます。今度はそっちにも行ってみますね」

 喋りながらふと彼が持つカゴのなかに目を留めた。

 いろいろな種類のカップラーメンと栄養ドリンクが大量に入っている。

「先生もこれからご飯ですか?」

「ああ……恥ずかしいところを見られたな」

 言葉通り、大槻先生は決まり悪い表情で頭のうしろをポリポリと掻く。

 もしかしてかなり動揺してる? 丁寧だった口調から素になっている。

 医療ドラマで医師が医局でカップラーメンをすするシーンをよく目にするが、実際にそうなのかと驚いた。

 常盤総合病院の外来受付は十一時半まで。そして現在は十三時半。

 昨日、午後から医師たちが病棟回診しているのを目にしている。ということは、それまでの僅かな時間で食事を済ませなければいけないのだろう。

 大変な仕事だ。
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