ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「向こうで小児脳神経外科について学んでいたんだ。今後は小児科と連携を図り、積極的に手術にあたる」

「すごい」

 思わず本音がこぼれる。

 蒼さんが目を瞬かせる私をやわらかな眼差しで見つめるので、頬が熱くなるのを自覚した。

「ありがとう。みちるに褒められるのが一番嬉しいな」

 なんて返したらいいのかわからずついと顔を逸らす。

「……それじゃあ、ここで。ありがとう」

 中央ホールの総合受付までついてきた蒼さんに軽く頭を下げる。列に並ぶまでもなくすぐ順番となり、受付を済ませ、二階の小児科へ行くように指示を受ける。

 息つく暇もなく、ずっと動き回っているので額に汗が滲んでいる。だがこうしている間にも蒼斗の熱がさらに上がっているかもしれないと思うと、一分一秒でも早く処置を受けさせたい。

「上で受付したら、ジュースあげるからね」

 ずっとおとなしく私の胸元に顔を埋めていた蒼斗が、ジュースという言葉に反応して頭を持ち上げた。

「りんごがいいよね? あるといいね」

 少しぼんやりとしている顔に微笑みかける。いつもはもっと元気があるのに。

「俺が買って持っていこうか?」

「うわっ! ビックリした!」

 どこからともなく現れた蒼さんに驚き、心臓に手を置こうとして蒼斗を抱っこしているんだった……とハッとする。

 もう先に行っていると思っていたのに、ずっと様子をうかがわれていたのだろうか。だとしたら恥ずかしい。
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