ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 約束の日。久しぶりに蒼さんと長い時間一緒にいられるので、めちゃくちゃ気合いを入れて準備をした。

 ドレスコードのあるレストランなので、蒼さんはスーツ姿で待ち合わせ場所に現れた。

 私はきちんとした感じがありつつ、女性らしさを存分に発揮できるフィッシュテールドレスにした。色は夏らしさがあるグレイッシュブルー。

 繊細な総レースで華やかだが露出は少なく袖もあり、普段使いもできるデザインになっている。うちのブランドから出ている人気商品でもある。

 レストランへ到着して、窓から夜景が望める個室の席に座るとコース料理が運ばれてくる。蒼さんが合わせてワインを注文したため驚いて目を丸くした。

「お酒を飲んでも大丈夫なの?」

「今晩は絶対に呼び出されないようにしてある」

 医師の勤務体制がどのようになっているのか知らないけれど、かなり無理をして時間を確保したのはわかる。

「蒼さんと飲むのは初めてだね。嬉しい」

 ふふっと笑うと、蒼さんは窓外に広がる夜景より美しい顔をほころばせた。

 身体から自然と力が抜けるような、彼の穏やかな笑顔が好きだなあとしみじみ思う。
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