ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「明日、明後日、そのあとも、みちるの意思は変わらない?」

「変わらない。ごめんね」

 奥歯を噛みしめてうなずくと、蒼さんはそれ以上私を説得するのを諦めた。

 簡単に引き下がらないでもっと縋ってほしいと苛立ちつつ、これでよかったのだと安堵する気持ちが共存して感情が安定しない。

 このやり取りを最後に私はほとんど口を開くことができず、また蒼さんもどう接していいのかわからないといった様子だった。



 こうして私たちは違う道を歩んでいくと決めた。

 嫌な別れ方ではなかったし、自分の下した決断を無意味なものにしないよう、精一杯前を向いていこうと考えていたのに。

 彼がアメリカに飛び立ってわずか二週間後、お腹に新たな命が宿っていると知った。
 
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