ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 みちるは振り返り、不思議そうに目を瞬いた。

「……入らないの? あっ、すぐに戻らないといけないか」

「上がっていいのか?」

 心臓がバクバクともの凄い音を立てて鳴っている。俺は最初から、家の前まで送るだけのつもりだった。

「それは、全然いいけど……ごめん。私に話があるから、こうして家まで送ってくれたんだと思った」

 自分の思い過ごしだとわかり、みちるは恥ずかしそうに頬を赤くする。

 変わらないな、と懐かしさで胸が締めつけられる。

 色白の肌をすぐ赤くさせるのも、きちんと相手と向き合って話をしようとするところも。

 といっても最初俺から逃げようとしていたのは事実だろう。こちらが引かずに詰め寄ったから観念したか。

「話の続きはなかでしよう。まずは蒼斗を寝かせてあげないと」

「そうだね」

 玄関を上がると、みちるはドタバタと慌ただしく動き回って息つく暇もない。自分の手を洗ったあと蒼斗の手洗いをフォローし、オムツを交換して、汗をかいているからとパジャマに着替えさせる。
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