ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「これなら食べられるかな?」

 蒼斗にスティックパンとストロータイプのボトルを手渡した。

「パンパン!」

 パンが好きなのか、可愛い呼び方をして満面の笑みになる。

 みちるは蒼斗が食べ始めたのを確認してからキッチンに立つと、お湯を沸かしてふたり分の飲み物をマグカップに入れる。

 手伝いたかったが、勝手がわからずなにもできなかった。広いとは言えない部屋の隅で、邪魔にならないように身を潜めている自分にまた情けなくなる。

「蒼さんごめん。もう少しだけ待っていてもらってもいい? 蒼斗がお昼寝するかもしれないから、布団に寝かせてみる」

「俺のことは気にしなくていい」

 みちるは安堵したように表情を緩め、パンを食べ終わった蒼斗を抱っこしてリビングから繋がった部屋に入っていった。

 扉を隔ててふたりの会話が聞こえる。

「頑張ったね。ご飯もお茶も飲めて偉かったね」

「ママ、ねんねよ」

「ごめんごめん。うるさかったね。ねんねしよっか」

「あーいっ」

 クスクスと笑う声はとても幸せそう。ふたりの穏やかな姿が、見なくても伝わってきて胸が温かくなった。
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