ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「念のため、お母さんへのフォローも入れるよ。友達に腕のいい弁護士がいるから相談をしてみる」

黒崎(くろさき)さん、だっけ?」

「よく覚えているな」

 俺の旧友である黒崎滉雅(こうが)は、常盤総合病院の顧問弁護士だ。みちると彼は顔を合わせてはいないが、何度か滉雅の話はしていた。

「知っての通り、仕事柄あまりプライベートな時間が取れない。でも俺はみちると一秒でも長く一緒にいたい」

 みちるの顔は今にも泣き出しそうなほど歪んでいる。

 もっと感情を見せてほしい。なにを想ってそんな顔になっているのか、すべてを知りたい。

「新居が見つかるまでの期間限定でもいいから、俺のそばにいてくれないか。滉雅が動いてくれるまででもいい。みちると蒼斗の安全をどうしても確保したい」

 俺の必死な姿に頬を引きつらせたみちるは、喉をごくりと上下に動かしたあと口を開いた。

「子供との生活って想像以上に大変だよ。蒼斗はまだ夜泣きがあるし、蒼さんの睡眠の妨げになるかもしれない。それにいきなり環境が変わったら、蒼斗が情緒不安定になる可能性の方が高いし、そしたらけっこう暴れるよ。今はイヤイヤ期という自我が芽生えている最中で、とにかくすごいの」
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