ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 曲がりなりにも医師であり、マサチューセッツ総合病院小児脳神経外科で子供の成長についても学んだ。イヤイヤ期を迎えた子供の暴れっぷりも、実際この目で見ている。

 それぞれの性格にもよるが、癇癪がひどい子供を〝すごい〟という言葉で一括りにしたくなる心境もなんとなくだが理解できる。

 今日は熱で弱っているから大人しいだけなのかもしれない。元気な男の子らしい蒼斗の姿を早く見てみたい。

「子育ての経験がないから、みちるにも蒼斗にも迷惑をかけるかもしれない。それでも精一杯努力する」

「あ、えっと、蒼さんに子育てを手伝わせるつもりは……」

「一緒に育てさせてくれ。頼む」

 食い気味で言い、頭を下げた。みちるは「蒼さん!」と慌てて腰を上げて止めに入る。

 頭を起こし、目と鼻の先にあるみちるの顔を射貫くように見つめた。

 茶色がかった瞳がゆらゆらと揺れている。
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