ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「本気なの?」

「俺は冗談も言わないし、嘘もつかない性格だと思うけど」

「そうだね……」

 みちるは俺から距離を取り、ストンッとカーペットに腰を下ろした。

「あれから三年も経っているんだよ。変わらないところもあるけど、変わった部分の方が多い。付き合ってみて、こんなはずじゃなかったと過去の私と比べられても困るよ」

 嫌ならノーと断ればいいだけだ。俺への確認作業をしている時点で脈はある。

 みちるが同居に対して前向きになっているのを感じて説得を続けた。

「俺にとってこんなはずではなかったと思うのは、みちると別れなければいけなかったことだ。みちるがどんなふうに変わったのか、この目で見て知りたい」

 しばらく見つめ合ったあと、みちるはふっと目線を落とす。

「黒崎さんが相談にのってくれるというのが本当なら、なんらかの解決策が出るまでお世話になってもいい?」

「もちろんだ。蒼斗の体調がよくなったらすぐに連絡がほしい。迎えに来るよ」

 みちるは俯いたまま小さくうなずく。

 数時間前に再会したばかりの元恋人のマンションへ移り住む約束をしているのだ。本当にこれでいいのかと、心を決められないのは当然だ。
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