ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 でもさすがにそれは早いよな。

 衝動に抗って手を離すと、頬の辺りを赤く染めたみちるが可愛らしくペコッと頭を下げる。

「じゃあ、お願いします」

 嫌悪している様子はない。よかった。一歩前進というところか。

「運転気をつけてね」

「ありがとう。みちるも体調を崩さないように、しっかり休んで」

 幸せな時間が終わる。

 後ろ髪を引かれる思いで外に出て、玄関の扉をゆっくりと閉めた。これが現実に起きている出来事だといまだに信じられず足が地に着かない。

 数分ほどその場に立ち尽くして気持ちを落ち着かせていると、ちょうど雨脚が弱まったので駐車場へ急いだ。

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