ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
あなたと家族になりたい
【四、あなたと家族になりたい】


 処方薬が効いたのか蒼斗の熱は翌日には下がり、翌々日から保育園に通えるまで回復した。

 その週末、病院での仕事を一旦切り上げた蒼さんが昼過ぎに迎えに来てくれた。

 先日乗ったときに気づいたけれど車が三年前と違う。でも簡単には手が出せない高級外車なのは変わらずで、そんな車の後部座席に新品のチャイルドシートが設置されていた。

 蒼斗は車に乗る機会もこれまでほとんどなかったので、流れる景色を観察するように窓外をジッと眺めていた。

 これからお世話になるタワーマンションへ到着し、以前と同じ十五階にある部屋だと思っていたのに、エレベーターが到着したのは二十三階だった。

 タワーマンションって、上の階にいくほどグレードアップするんじゃなかったっけ。

 緊張で、つい蒼斗と繋いでいる手に力が入っていた。蒼斗は初めて訪れる場所を物珍しがって、先ほどからあちらこちらに気を取られている。

 蒼斗には今日から別の家で暮らすと説明をしてあるのだが、たぶんまだよくわかっていない。

 エレベーターを降りて、廊下の突き当りにある玄関扉の前でカードキーをかざし、「どうぞ」と蒼さんは私たちを招き入れた。
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