幸せな二人(運命の歯車 if)
「どうした、顔、赤いけど」
水槽に戻った片口君が、改めて呼吸をしながら私を気にかける。
「な、なんでもない。私の恋人が、すっごく、命がけで……来てくれたから。嬉しかったの」
「かな子」
部屋に、水音が響き渡る。
二人を遮るものは、ない。
「愛してるよ」
「片口君」
ほら、ゆきえ。
私たちこんなに幸せなんだよ?
「……なぁ、目をそらすなよ」
なんて言われて、一糸纏わない姿の彼をちらりと見た。