一途な外科医は彼女の手を繋ぎ止めたい
久しぶりにお兄ちゃんが病棟に現れた。

「よかった。由那がまだいた。今日夕飯食べに行こうよ。俺もうそろそろ終わるけどどう?」

私も定時を1時間過ぎそろそろ帰り支度をしているところ。

「今日はおばあちゃんがご飯の支度だからダメ!お兄ちゃん食べに来たら?おばあちゃん喜ぶよ」

「そうか?なら行こうかな」

お兄ちゃんと私は病院でよく会うけど家に来ないからおばあちゃんとは久しぶり。
アメリカにいたのもあっておばあちゃんとはなかなか話す機会が少ないから絶対に喜ぶと思う。それにご飯を食べてくれるなんて聞いたらもっと喜びそう。

「お兄ちゃん。私は自転車だから別々に帰ろう。また後でね!」

お兄ちゃんは手を上げ、階段で降りていった。

さて、私も帰る準備しなきゃ。

お兄ちゃんの突然の登場におばあちゃんもお母さんも大喜びだった。

お兄ちゃんは途中でお母さんの好きなタルトを買ってきてくれ、とっても賑やかな夕飯になった。

「健介、また来てちょうだいね」

おばあちゃんにとって初孫のお兄ちゃんはとにかく可愛くて仕方ないみたい。

「おばあちゃん、また来るな」

そういうとお兄ちゃんは2人に持たされたおかずを抱え車に乗り込んだ。

みんなでお兄ちゃんの車を見送るといなくなったリビングはちょっと寂しく感じた。
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