一途な外科医は彼女の手を繋ぎ止めたい
「由那、大丈夫?優しくって思ったのに最後まで優しくできなかった。ごめん」

「十分優しかったです」

そういうと冬哉さんは胸にうずめた顔を上げ、私にキスをしてきた。

「ありがとう、由那。こんなにも由那のことを好きになるなんて思ってなかった。最初から惹かれていたけど、今までの恋愛って何だったんだろうって思う。由那と会って魂が揺さぶられるんだ」

「今までの恋愛は怖いから聞きたくない」

「ごめん。でも由那は全く違うんだ。どうしてこんなに惹かれるか分からない。でも惹かれないわけにはいかないくらいに由那に会うたび俺の中で由那はどんどん大きく膨らんでいくんだ」

そういうとまた顔を埋め、ギュッと抱きしめてきた。

私は冬哉さんの頭を抱きしめ、

「私も冬哉さんに惹かれて仕方ないの。会えると嬉しくて、話すと楽しくて、分かれる時には悲しくて…。冬哉さんといると一喜一憂する自分がいるの。次にいつ会える?って聞ける関係になりたかった」

「俺もいつでも会いたかったよ。由那に振られるのが怖くてなかなか言い出せなかった。でもこうして一緒に過ごせる時間を共にできて幸せだ」

私も頷いた。

「もう顔がいいとか医者だから、とか言って振らないでくれよ。もしそんなことをまたいうなら俺が何度でも由那が好きだって思い出させてやるから安心して俺のところにいて」

「うん!」

また彼は私にキスを落とした。
甘い、甘い時間がまた始まる合図だった。
私はまた冬哉さんに翻弄され夜が老けていった。
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