一途な外科医は彼女の手を繋ぎ止めたい
カーテンの間から薄暗い中で朝日が差し込み目が覚める。

時計を見ると5時。
隣を見ると、まだ眠ったままの冬哉さんの顔があった。
前髪が顔にかかり少し普段より幼く見えるその顔にホッとする。
目が開くと二重で瞳が大きく、人を惹きつけてしまうほどの顔面偏差値の高さにやっぱり一歩引いてしまうが、今のこの顔は私だけのものだと思うと胸が高鳴った。

あ、キキの散歩に行かないと。

そう思うと焦り始めた。
私が飼うと決めた限り責任がある。

そっとベッドから降り、帰ろうとするが足に力が入らずベッドから落ちてしまった。

「由那?落ちたの?」

「ごめんなさい。大丈夫。まだ寝てて」

「うーん…。由那もまだ寝ようよ」

そういうと私を引き上げ、腕の中に閉じ込められた。

「冬哉さん、ごめんなさい。もう帰らなきゃ。キキが待ってるの」
 
「キキ?」

「そう。散歩に行ってあげないと」

「俺はキキにも負けたか」

そういうと笑ってキスをしてきた。

「由那、シャワー浴びておいで。そしたら車で送るよ。まだ間に合うから大丈夫。で、一緒に散歩しよう」

「うん!」

私はまた立ちあがろうとするけどやっぱり力が入らない。

「ごめん。俺のせい。お湯溜めてくるからお風呂に入れてあげる」

そういうと冬哉さんは立ち上がりそばにあった下着だけを履くと部屋を出て行ってしまった。

しばらくすると戻ってきて、私を抱き上げるとバスルームへ連れて行ってくれた。

「もう大丈夫ですから!」

そう言っても冬哉さんは信じてくれず、私も力を入れたいのに入らないので冬哉さんのされるままになってしまった。

冬哉さんに頭のてっぺんから足先まで洗われ、恥ずかしいのに嬉しくて朝からドキドキしてしまった。

冬哉さんと広々としたバスタブにくっついて座ると何だかとっても満たされた気分になる。
この空間に2人きりで、外と遮断されてる感じがして私は彼の特別に感じてしまう。

「はぁ。由那を帰したくないな」

そういうとお腹に巻き付けてあった手が上へと伸びてきた。

あれ?
もしかして。

冬哉さんの左手は変わらず私のお腹に巻き付いているけど右手は胸の頂きを触り始めている。
しばらくすると胸を手で覆われ揉み始めてしまう。

「あぁん」

私の声が響き渡ってしまった。
慌てて両手で口を押さえた。
すると冬哉さんに手をひらかされ、キスが始まった。
冬哉さんの手は私のお尻を触り始めてしまう。

「冬哉さん!また立てなくなります」

小さな声でお願いすると、プッと笑われ終わりになった。

「ごめん。由那といるとくっついていたくなるんだ」

「私も。でもごめんね。キキのお散歩に行かなきゃ。今日は誰にも頼んでないし」

「もちろんだよ。さ、拭いてあげよう」

そういうと抱きかかえられ、タオルで全身剥がれてしまった。
もう大丈夫、と何度伝えてもやらせてもらえず恥ずかしい時間を過ごしてしまった。

着替えをすると冬哉さんがお茶だけ入れてくれ、明るい中ダイニングで向かい合うと昨日までの関係が終わったのだと改めて思い、ちょっとだけ恥ずかしかった。

「さ、由那の家に送るよ。で、俺は車を置きに戻ってからまた公園に向かうよ」

「はい」

車の鍵を持ち立ち上がる。
そして、家の鍵を私に渡してくれた。

「これは由那の分。いつ来てもいいからな」

「嬉しい!ありがとう」

「家にあげるのも、鍵を渡すのも初めてだから」

え?

「そう。女の人を家にあげるのも初めて。プライベートな空間は特別だから誰も入れてない」

私は嬉しくて抱きついて、彼の腕の中でありがとうを伝えた。
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