一途な外科医は彼女の手を繋ぎ止めたい
翌朝、キキといつものように散歩へ向かう。
相変わらず冬哉さんを見つけるのが得意なキキは冬哉さんの元へ駆け寄る。
「おはよう」
「おはようございます」
そういうと手を出す。
リードを渡すとキキと走り出して行ってしまった。
日に日に寒くなってきたなぁ。
私はコーンスープを買い、手を温めているとそばを歩いていたおじいさんがフラフラしていることに気がついた。
なんだか顔色も良くないし、足取りがおかしい。
意を決しておじいさんに声をかける、と同時におじいさんは倒れ込んできた。
あ……。
「大丈夫ですか?」
そうは言ったが意識がないのは明らかだった。
私が受け止めたから頭は打っていないはず。
慌てて119番しようとするが手が震える。
おじいさんを抱きかかえたまま、なんとか電話をかけ、場所を伝えるとすぐに向かうという。
「おじいさん!おじいさん!もうすぐ救急車来ますからね!頑張って!」
何度も励ましながら声をかけるが反応はない。
脈を見るが触れない。
慌ててシャツの上から耳を当てても心臓の音が聞こえない。
どうしよう。
手が震えながらも見よう見まねで心臓マッサージを始めた。
早朝で、林に近いところにいる私は目立たないのか誰も気がついてくれない。
寒くなり早朝の散歩の人も夏に比べ少ない。
「誰か!助けてください!」
そう言いながら無我夢中で心臓マッサージを続ける。
「おじいさん!おじいさん!頑張って、頑張って!」
何度も声をかけながらあっているのかもわからない心臓マッサージを続けるしかなかった。
「由那!変わるから!」
そういうと戻ってきた冬哉さんが心拍の確認をして、まだ動いていないのかマッサージが始まった。
「由那、何分くらい経つ?意識は最初からない?」
「フラフラ歩いてて声かけようと思ったら倒れ込んできたの。私が支えたから頭は打ってない。多分5分は経つと思う。救急車は呼んだ」
手も震え、声も震えたままなんとかありのままを伝えた。
「よし!よく頑張った」
救急車の音がしてきた。
私は震える足を踏ん張り、なんとか立ち上がると救急隊を案内するため走り出した。
「こっちです!お願いします」
ストレッチャーを引き、走り込むように来た救急隊員に向け、冬哉さんは指示を出す。
「原島総合病院の外科医、原島です。心拍停止7分経過してる模様。AEDセッティングして!」
「はい!」
即座にモニターがつけられると変な画面が映し出された。
脈とも思えないような波形を見つめていると、ドン、と電気ショックがかかったのか体がビクンとした。
「もう一回!」
ドン、とまたなった。
私は恐ろしくてガタガタ震える。
病棟でも急変はあるけど私がその場に立ち会うことはない。
「戻ったぞ!早く搬送して。点滴ルートの確保もしよう。原島総合病院の救急外来にかけて。俺が掛け合うから」
素早くストレッチャーに移動させ、歩きながら指示を出す。
「由那、ごめん。行くから!」
私はコクコクと頷き彼らを見送ることしかできなかった。
その場にへたり込み、私は手の震えが止まらなかった。
助かってよかった…
そう思うと涙がこみ上げてきた。
冬哉さんがついてるからもう大丈夫、と思うと安心感からまた涙がこぼれ落ちた。
やっと落ち着きを取り戻し、慌てて家へ戻り出勤した。
相変わらず冬哉さんを見つけるのが得意なキキは冬哉さんの元へ駆け寄る。
「おはよう」
「おはようございます」
そういうと手を出す。
リードを渡すとキキと走り出して行ってしまった。
日に日に寒くなってきたなぁ。
私はコーンスープを買い、手を温めているとそばを歩いていたおじいさんがフラフラしていることに気がついた。
なんだか顔色も良くないし、足取りがおかしい。
意を決しておじいさんに声をかける、と同時におじいさんは倒れ込んできた。
あ……。
「大丈夫ですか?」
そうは言ったが意識がないのは明らかだった。
私が受け止めたから頭は打っていないはず。
慌てて119番しようとするが手が震える。
おじいさんを抱きかかえたまま、なんとか電話をかけ、場所を伝えるとすぐに向かうという。
「おじいさん!おじいさん!もうすぐ救急車来ますからね!頑張って!」
何度も励ましながら声をかけるが反応はない。
脈を見るが触れない。
慌ててシャツの上から耳を当てても心臓の音が聞こえない。
どうしよう。
手が震えながらも見よう見まねで心臓マッサージを始めた。
早朝で、林に近いところにいる私は目立たないのか誰も気がついてくれない。
寒くなり早朝の散歩の人も夏に比べ少ない。
「誰か!助けてください!」
そう言いながら無我夢中で心臓マッサージを続ける。
「おじいさん!おじいさん!頑張って、頑張って!」
何度も声をかけながらあっているのかもわからない心臓マッサージを続けるしかなかった。
「由那!変わるから!」
そういうと戻ってきた冬哉さんが心拍の確認をして、まだ動いていないのかマッサージが始まった。
「由那、何分くらい経つ?意識は最初からない?」
「フラフラ歩いてて声かけようと思ったら倒れ込んできたの。私が支えたから頭は打ってない。多分5分は経つと思う。救急車は呼んだ」
手も震え、声も震えたままなんとかありのままを伝えた。
「よし!よく頑張った」
救急車の音がしてきた。
私は震える足を踏ん張り、なんとか立ち上がると救急隊を案内するため走り出した。
「こっちです!お願いします」
ストレッチャーを引き、走り込むように来た救急隊員に向け、冬哉さんは指示を出す。
「原島総合病院の外科医、原島です。心拍停止7分経過してる模様。AEDセッティングして!」
「はい!」
即座にモニターがつけられると変な画面が映し出された。
脈とも思えないような波形を見つめていると、ドン、と電気ショックがかかったのか体がビクンとした。
「もう一回!」
ドン、とまたなった。
私は恐ろしくてガタガタ震える。
病棟でも急変はあるけど私がその場に立ち会うことはない。
「戻ったぞ!早く搬送して。点滴ルートの確保もしよう。原島総合病院の救急外来にかけて。俺が掛け合うから」
素早くストレッチャーに移動させ、歩きながら指示を出す。
「由那、ごめん。行くから!」
私はコクコクと頷き彼らを見送ることしかできなかった。
その場にへたり込み、私は手の震えが止まらなかった。
助かってよかった…
そう思うと涙がこみ上げてきた。
冬哉さんがついてるからもう大丈夫、と思うと安心感からまた涙がこぼれ落ちた。
やっと落ち着きを取り戻し、慌てて家へ戻り出勤した。