塩彼氏の愛   番外編 兄はつらいよ
そんなこんなで

花と悠之介が中学に上がった年の秋。


誰の誕生日でも記念日でもないのに
朝倉家と三井家で盛大なパーティーが行われた。


父2人は酔っ払ってなぜか涙を流し


母2人も酔っ払って終始ご機嫌で
花を囲んで3人でコソコソしていた。

いつも明るい花が
ちょっと恥ずかしそうにしていた。


当時は気が付かなかったけど
花が女になった日だったということを
数年後に知った。


恥ずかしかっただろうに!
あの親達は一体何を考えているんだかっ!!


それくらいから花は縦の成長が止まった。
どんどん俺らと身長差が開くにつれ
女性として輝き始めた。
幼児体型ではなくなり、女性らしい身体付きになり無意識に色気も出てきた。



その頃に一度、花の今後について康之助と話した事がある。


康之助は言った。

「女としての生き方を知らない花が心配だ!」

「もっといろんな事経験しないと大変な事になる!」

「これからは花には恋愛だって必要だ!
変な男に騙されてもいいのか!?!」

と。


「ならば、康之助が…」



と、俺は、最初康之助に花の側にいて欲しいと頼んだんだが…



「出来る事ならやってる。願ってもない。
ただ、俺は兄弟で揉めるのは嫌なんだ…
空、言ってる意味わかるだろ?」



「……悠之介か?」

と、俺がこたえると


康之助が頷く。


「悠之介も俺に気を遣ってるんじゃないか…。
悠之介はガキの頃から花しか見てない。本人は何も言わないし、アイツは素直じゃないけど嘘がつけない。顔に出てるんだよ。
正直、俺だって花を女として見た事はあるけど、俺はいつでも花の味方でいたい。悠之介と花の兄でいたいんだ。俺は俺の方法で花を守る。」

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