塩彼氏の愛   番外編 兄はつらいよ
そんなこんなで大学に進学した。

俺にとっても康之助の穴はデカく
アイツがいない毎日に慣れるのには
少し時間が必要だった。


がっ、時間は過ぎるもので…


3年になると花と悠之介が入学してきた。


入学式で花と悠之介の2人は目立ちに目立って
いた。特に、花は大学生というのもあり
軽くメイクをするようになり更に美しさに磨きがかかる。


両家の両親も悪夢が蘇ったのか…


ここにきてやっと本気で
花の心配をしだす。


うちの両親は花の恋愛に対しては
寛容な方で、俺が煩すぎるという事もあるけど、花が傷付く事は絶対にさせたくないという気持ちはある。


康之助もいない、虹子は大学が違う。
悠之介はいるにはいるが
花とは学部も違うから接点が極端に減った。
俺もまた、花とは学部が違っていた。


そもそも取っている授業が違うので
登下校に悠之介がついて回る事も出来ない。


花は花で外の世界に興味を持ち始めていた。


そして、俺と兄妹であること
悠之介と幼なじみである事を
隠したがるようになった。


ちょっと寂しい気持ちはあるけど
俺らの事を詮索されたり、ギャーギャー騒がれたりするのを嫌がっていたからな。


俺も悠之介も、花目当てに近付いてくる輩は
全て返り討ちにしてたけど、腹立つだけだしな。


花は友達の影響もあり
自分は遅れていると。友達が羨ましいと。
みんなと同じ事がしたいと。

度々口に出すようになった。


正直、こういう時が一番危ないんだ。
でも、花も大学生。
友達と遊びたいだろうし
成人したらお酒だって飲みたいだろう。


条件付きではあるが色々と解禁にした。


悠之介は
「ハナは絶対約束破るからダメだ!学校でも俺の事無視するんだぞ!」と言ったけど


それじゃあまりにも花が可哀想だ。


気安く声をかけてくる異性とは口を聞かない。
門限は20時。
派手な服装禁止、パンツスタイルが良し。
ただの出会い目的のような
詳細不明のサークル活動は禁止。
お酒の付き合いは男が1人でもいたら禁止。
友達の知り合いであろうと
その友達がいない時は口を聞かない。


高校生の時よりはかなり自由な条件だ。


これを守れなかったら、速攻で花の学部に行って兄妹である事をバラし、暇さえあれば花について回ると言ったら


すっかりと耐性のついた花は約束を良く守った。


在学中、俺が一度も花の前に行く事は無かった。


でも、本当は妹だと言って、あの気持ち悪い視線から妹を守りたくて悶々としてたわ。
チャレンジャーな奴は花となんとかして接触したくてあらゆる方法で近付こうとしていたけど


なんとか、俺との約束で守り切れた。


悠之介は何度も発狂して
家で花に文句ばかり言ってた。


かわいくて無自覚で素直な妹のせいで
ヤキモキとストレスも溜まった…
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