冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
「失礼しました。私、弁護士の郡司と申します」
「弁護士……」
名刺を渡して名乗ったら、男性教師の顔がますます険しくなる。後から芽衣を怒らせるかもしれないが、怪しい者ではないと主張したくて、俺は言う。
「観月先生の婚約者です」
ぴくりと、男性教師の眉が震えた。
「元、ですよね?」
「えっ? ……どういう意味でしょうか」
首を傾げて聞き返すと、男性教師は挑むような目で俺を見た。
「すでに別れているにもかかわらず『自分は婚約者だ』と言い張る危険な男に、彼女は会わせられません。今、観月先生とお付き合いしているのは自分なので」
頭を殴られたような衝撃が走った。
この男が、芽衣の新しい恋人? 手紙の内容は事実なのか……?
「失礼ですが、あなたは……」
「この学校で体育を教えております、草野と申します。とにかく、観月先生をあなたに会わせるつもりはありませんので、お引き取り下さい。それと、今後も学校の周りをうろついたり彼女につきまとったりするようなら、警察に通報させていただきます。では」