冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
『まったく、学習能力のない――』
俺は呆れたフリをして彼女の手を取り、自分のそばにいさせることにした。
芽衣は少し不本意そうにしながらも、俺の一言一句に頬を染めたり、怒ってみたり、がっかりしたり。
やっぱり魅力的な女性だなと甘い気持ちになるのと同時に、仕事に対する姿勢にも好感を抱いた。
彼女になら、母のことを話してみてもいいかもしれない……そんな思いが胸をよぎる。
今まで交際した数人の女性のうち母のことを話したのはひとりだけだったが、その女性は話した直後からあからさまに態度が変わり、すぐに別れを切り出された。
『私、マザコンの男性って無理なんで』
別れ際にそう言われ、それは誤解だと反論する気力もなかった。俺がマザコンであろうとなかろうと、俺に執着する母の存在が交際する女性を困らせることに変わりはない。
そんなあきらめを抱くようになるにつれ、俺は自然と本気の恋愛ができなくなっていた。
しかし、芽衣なら俺たち母子に起きている状況を〝マザコン〟のひと言で片付けず、心を照らしてくれるのではないか。
そんな気がして、婚活パーティーから連れ出した彼女に、母のことを包み隠さず打ち明けた。