冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
弁護士は様々な法や判例と照らし合わせながら論理的思考を積み上げ、正しい知識や判断をクライアントに提供するのが仕事だが、カウンセラーは、まず第一にクライアントの心に寄り添うのが定石。
芽衣はプロとしてそれを実行しただけとはいえ、親身になって俺の話に聞き入り、様々な提案をしてくれる彼女に、俺は心から感謝した。また、少しからかっただけで頬を染める初心な様子には、男として単純に惹かれた。
もっと色々な話がしたい。カウンセラーとクライアントではなく、男と女として。
心の底からそんな欲求が沸き上がり、俺は気が付けば交際を申し込んでいた。
芽衣もうれしそうに承諾してくれてホッとしたが、俺はふと心配になる。
『本当にいいのか? もれなく面倒な母親もついてくるというのに』
『そんな風に言わないでください。私も郡司さんと一緒に考えたいです。お母様のためになにができるのか。どうしてあげるのが一番いいのか』
芽衣のその言葉に、俺はどんなに救われただろう。
同時に、実の息子であるにもかかわらず、わずかながら母親を疎ましく思っていた自分が情けなくなった。