冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

「理詰めで相手を追い詰めるあなたと、優しさで包み込む観月先生……本当に、見事なコンビネーションでした。観月先生がいつまでもあなたを忘れられないのが、なんとなくわかるというか……悔しいけど、完敗という感じで」

 ……芽衣が、俺を忘れられない? この男、今さらなにを言っているんだろう。

「芽衣は、あなたとお付き合いしていたのでは?」
「いいえ。僕では観月先生の心の隙間は埋めらないと気づいていたので、告白すらしていません。あなたこそ、どうして彼女を振ったりなんか? 別れた直後の観月先生、かなり落ち込んでましたよ。それで、観月先生に悲しい顔をさせるあなたが許せなくて、つい付き合っていると嘘を」

 今の草野に嘘をついている様子はない。しかし、彼の言い分は俺の記憶と違う。

「私は芽衣を振ってなどいません。彼女がそう言ったんですか?」
「ええ。カッコいい弁護士先生にフラれてしまったと」

 どういうことだ? 単に、同僚には事実を話さなかっただけ?

「……彼女が妊娠を職場に伝えたのはいつ頃ですか?」
「わりと、その直後だったと思いますよ。シングルマザーで迷惑をかけるからって、早めに職場に知らせておきたかったみたいで」

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