冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

「なんですかその屁理屈」
「知らなかったのか? 弁護士は屁理屈のプロだと」

 ダメだ……。口では彼に勝てる気がしない。勝ち誇ったよう目で私を見下ろす彼を悔し紛れにキッと睨みつける。

 そうこうしているうちにお迎え時間はギリギリになっていて、私はとりあえず至さんを外で待たせて、成優を迎えに園舎へ入った。


「わー、こないだのおにいさん! なんで?」
「うん? 成優ちゃんと遊びたくて来たんだ」

 なんとなく予想はしていたが、成優は至さんの姿を見て大喜びだった。

 ふたりは自然と手を繋ぎ、私の存在そっちのけで歩きだす。後ろからひとりでついていく私は、なんとも複雑な心境である。

「またうちでごはんたべる?」
「うーん、ママがいいって言えば」
「ママ! いいよね! おにいさんとごはん!」

 振り向いた成優に期待のこもった眼差しで見つめられ、私は苦笑する。

 もう、決定事項みたいな言い方して……。ま、至さんへのお礼のつもりだと思えばいいか。

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