冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
離れられない、離したくない
至さんとのランチデートから数週間。五月の大型連休を使って、私と成優は至さんのマンションに遊びにきた。
「パパ……?」
「そうだよ」
「ホントにホント?」
「うん。だから、今度からは〝お兄さん〟じゃなくて〝パパ〟って呼んでくれるとうれしいな。俺も、成優ちゃんのこと成優って呼ぶから」
部屋のドアを開け、私たちを迎え入れようとしてくれている至さんの前で、成優が放心している。
何度もぱちぱちと瞬きをして、一生懸命この状況を理解しようとしているみたいだ。
数日前、『パパが成優に会いたいって言ってるんだけど、どうする?』と聞いた時、迷わず『なゆもあいたい!』と言った彼女だが、そのパパが至さんだとは今の今まで内緒にしていたのだ。
大和さんに対して抱いていたような淡い憧れを、至さんにも感じていたとしたら、もしかしてショックかもしれない。成優って面食いだからな……。
「ママ」
「ん?」
成優が不安げに私を見上げたので、屈んで目線を合わせる。すると、成優は私の耳元でコソコソと話した。