冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
予想していなかったわけじゃない。至さんへの依存心が落ち着いたところで、お母様にとって彼が大切な息子であることに変わりはないんだもの。
至さんのために結婚は認めたとしても、黙って彼の子どもを産むような女は、どうしても生理的に受け付けないのかもしれない。理屈じゃないんだ、きっと。
「至さん」
うなだれる彼の方に、そっと手を置く。私は大丈夫。そう伝えるように、微笑を浮かべてみせる。
「とても残念ですけど、私、だからってあの頃のように、なにも言わずにあなたから離れていったりしません」
「芽衣……」
「なにも知らずに、ずっと成優とふたりきりでも幸せだったと思います。でも……あなたと再会してしまった今、至さんなしの人生は考えられない。失いたくないんです、もう二度と」
話しているうちに自然と目頭が熱くなって、涙がひと筋、頬を伝った。
至さんはたまらなくなったように、ギュッと私を抱き寄せる。