冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 翌朝、日が高くなるまですっかり眠りこけていた私を起こしたのは、成優の元気いっぱいの声だった。

「ママ! 起きて!」
「う、ん……ちょっと待って」

 昨夜、パパが寝かせてくれなくて……。と説明するわけにもいかず、のっそり上体を起こす。

 成優はベッドの脇でニンマリ笑って私を見ていて、まさか『昨夜はお盛んでしたね』と言いたいわけじゃないよね……? なんて、寝ぼけながら思う。

「ママ、なにかきづかない?」
「え? なにかって、なに?」
「もう、ニブいなぁ~! よくみて!」

 よく見るってなにをよ……。そもそも、起きたばかりで目がショボショボするのに。

 両手でぐりぐりと目元をこすっている途中、左目のそばで〝ごりっ〟と硬い感触がして、私は思わず自分の手を見る。

「えっ?」

 薬指に輝くのは、見覚えのない指輪。センターストーンには大きなダイヤが輝き、アームには主役を引き立たせるようにメレダイヤが散りばめられた、上品なデザインのプラチナリングだ。

 これって、まさか……。

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