冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
居間である和室で両親と向き合った至さんは、一時期私と成優と離れていたことをとにかく謝り倒していたが、両親は私から事情を聞いているので彼を責めることはなかった。
「芽衣が自分で選んだことだから、いいんですよ。それより、お母様の具合はどうですか?」
「はい、以前よりはだいぶ落ち着いていて、今は問題なくひとりで暮らしているのですが……」
母の問いに、至さんが表情を曇らせる。彼の口からはとても言いづらいだろうと、私が助け舟を出す。
「結婚は認めてくれるとおっしゃってくださっているけど、こちらから挨拶に行くのは遠慮してほしいみたいなの。たぶん、お母さんたちも会えないと思う。この状態で結婚するのは気が引けるとも思ったけれど……私たち、それでも一緒になりたいの」
相手の親から祝福されない結婚なんて、反対されるかもしれない。それでも彼との結婚をあきらめるつもりはないと、両親を見つめて訴えた。
「芽衣がそこまで言うのなら、僕たちからはなにも言うことはない」
そう言って優しく笑ったのは、父だった。それから母をチラリと見てばつが悪そうに頬をかく。