冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
許すことはできなくても――side至

 六月五日。俺と芽衣は、成優の誕生日に合わせて婚姻届を提出した。日曜日だったので成優も連れて区役所に行き、受理されたその場で記念写真も撮ってもらった。

 引っ越しは先月の内に完了しすでに三人での生活はスタートしているが、婚姻届を出すと改めて身の引き締まる思いがした。

 一家の大黒柱、なんて言葉は時代錯誤かもしれないが、いつか自分が家庭を持ったら、家族を支える頼もしい男でありたい、父のように家族を悲しませる男にはなりたくないと、昔から思ってきた。

 ……父は本当に、どうしようもない男だったのだ。


『ねえあなた……。昼間、崎本さんという女性から電話があったのよ。その人、あなたの子を身籠っているなんて言うの。嘘よね?』

 俺が中学生の頃である。深夜に帰宅した父に母がそう言って詰め寄るのを、俺は階段の踊り場から見ていた。父は面倒くさそうにため息をつき、持っていたカバンを母に押しつける。

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