冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
「貴重な情報サンキュ。帰ったら、芽衣のことよく注意してみるよ」
「よろしく。兄貴がでろんでろんに甘やかせばきっとすぐ回復だよ」
調子に乗って冷やかしてくる塁の頭を小突いて、病院のエントランスで別れる。
父に会うのは予定外だったので、俺は残った仕事を片付けるべく急いで事務所に車を走らせた。
「ただいま」
「おかえりパパ~!」
二十時過ぎに帰宅すると、いつものように玄関で成優が出迎えてくれた。たまらず小さな体を抱き上げて、頬ずりする。
「くすぐったいよ」と笑う成優の声に、疲れた体と心が癒される。
「ママは?」
「ベッドのおへやででんわしてる」
「そうか。じゃ、静かに歩こう」
成優を床に下ろし、〝しー〟とふたりでひと差し指を立てながら、忍者のように廊下を歩く。
リビングダイニングのドアを開けると料理のいい香りがして、思わず腹の虫が鳴った。
「お、今日はポークケチャップか」
ダイニングテーブルの上に、俺の分の夕食がラップをかけて置いてある。